赤べことは|諸説ある由来と、会津の郷土玩具を出典つきで

最終更新: 2026-07-10

天然痘除けの言い伝えを描いた架空のドット絵風景

会津を代表する郷土玩具「赤べこ」は、首を振る赤い牛の姿をした張り子人形です。起源にまつわる伝説は一つに定まっておらず、諸説が伝わっています。伝説と、工芸としての成り立ちの両面を出典つきで紹介します。

「べこ」は東北の方言で牛を指す言葉です。赤べこの由来には、江戸時代の疫病除けの伝承や、会津地方に伝わる牛の伝説など複数の説があり、いずれも一つの定説として確定してはいません。

この記事では、伝わる由来の諸説と、赤べこを含む「会津張り子」という工芸そのものの歴史、そして今も会津若松で続く新春行事「十日市」との関わりまでを紹介します。

赤べこの由来には、どんな説があるのか

天然痘除けの言い伝えと、寺院再建を手伝った牛の伝説など、複数の説が伝わっており、定説はありません。

天然痘除けの言い伝え

江戸時代・諸説の一つ

会津地方で天然痘が流行した際、赤べこの体に描かれた黒い斑点を疱瘡(天然痘)に見立て、赤べこを身代わりにすることで病を避けられると信じられたという言い伝えが伝わります。赤色そのものにも魔除けの意味があるとされ、赤べこは「厄除け牛」「幸運の牛」とも呼ばれてきました。

出典:疫病終息祈願と「赤ベコ」について

寺院再建を助けた牛の伝説

会津地方に伝わる伝説の一つ

もう一つ知られているのが、寺院再建の際、大量の木材運搬に苦労していたところへ赤毛の牛の群れが現れ、力を貸したという伝説です。この伝説はもともと現在の柳津町に伝わるもので、赤べこという郷土玩具そのものは会津地方全体で広く作られており、いずれの由来にも諸説がある点は変わりません。

出典:赤べこ伝説(赤べこ親子をさがしに行こう)

郷土玩具「会津張り子」としての赤べこ

会津の張り子人形は蒲生氏郷が京都から人形師を招いたことにルーツを持つとされ、赤べこもその一つです。

会津張り子のはじまり

16世紀末ごろ

赤べこは、張り子の技法で作られる郷土玩具「会津張り子」の一つです。会津張り子は、蒲生氏郷が会津の領主となった際に京都から人形師を招き、殖産のために作らせたことがルーツとされます。赤べこのほか、起き上がり小法師や会津天神なども同じ系統の張り子として作られてきました。

出典:福島の郷土玩具「野沢民芸」会津張子の赤べこを訪ねて

首がゆらゆら動く仕組み

郷土玩具としての特徴

赤べこは赤く塗った牛の張り子人形で、黒い斑点と白い縁取りが描かれています。頭の部分は胴体と別に作られてつながれており、触れると首がゆらゆらと揺れる仕組みになっているのが特徴です。近年は担い手の高齢化が進み、大量生産を実現した工房が市場の多くを占めるようになっています。

出典:福島の郷土玩具「野沢民芸」会津張子の赤べこを訪ねて

会津若松の「十日市」と赤べこ

会津若松で400年以上続く新春の市「十日市」では、赤べこと起き上がり小法師が並んで売られます。

十日市という新春の市

毎年1月10日・大町通り・神明通り

会津若松市の中心部、大町通りや神明通りを中心に、毎年1月10日に開かれる「十日市」は、400年以上続くと伝わる新春の市です。この市で赤べこや起き上がり小法師を買い求め、一年の無病息災や家族の繁栄を願う習わしが今も続いています。

出典:十日市が開催されます

起き上がり小法師との関わり

家族の人数より1つ多く買う習わし

十日市で赤べこと並んで売られる起き上がり小法師も、蒲生氏郷が藩士に副業として作らせたことが始まりと伝わる郷土玩具です。「七転び八起き」の縁起にちなみ、家族の人数より1つ多く買い求めて神棚に飾る習わしがあり、赤べことともに会津の新春を象徴する存在になっています。

出典:起き上がり小法師とは。昔も今も立ち上がる元気をくれる縁起物の歴史と現在

よくある質問

赤べこの伝説は、どちらが本当?

どちらか一方が正しいと確定してはいません。天然痘除けの言い伝えと、寺院再建を助けた牛の伝説はいずれも後世に語り継がれてきた話であり、記録として裏付けられた由来は残っていないため、「諸説ある」というのが実情に近い理解です。

赤べこは今、どこで作られている?

会津地方には赤べこを含む会津張り子の工房がいくつか残っていますが、担い手の高齢化により数は減っています。会津若松市内には絵付け体験ができる施設もあり、自分だけの赤べこを作ることができます。

赤べこと干支の張り子人形は関係がある?

同じ会津張り子の工房が、赤べこだけでなく干支をモチーフにした張り子人形も手がけていることが多く、正月にはその年の干支の張り子が赤べこと並んで店頭に置かれることもあります。

「べこ」という言葉はどこの方言?

東北地方の方言で牛を指す言葉です。赤べこという名前は、赤く塗られた牛を意味する会津の方言的な呼び方が、そのまま郷土玩具の名前として定着したものです。

出典・参考

※ 由来に諸説あるものは「諸説あり」として記載しています。読み・由来は公開情報にもとづきますが、最新の情報は各出典でご確認ください。

執筆: LoreMania編集部/出典検証: 各項目に明記

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