会津塗と会津木綿|蒲生氏郷から続く会津の伝統工芸を出典つきで

会津塗と会津木綿は、ともに戦国時代の領主・蒲生氏郷の産業振興にルーツを持つとされる会津の伝統工芸です。漆器と織物、それぞれの歴史と特徴、そしてその舞台となった七日町通りを出典つきで紹介します。
会津塗は、経済産業大臣指定の伝統的工芸品です。会津木綿は国指定ではなく福島県指定の伝統工芸品ですが、ともに戦国時代の会津にルーツを持つとされています。
この記事では、漆器「会津塗」の技法と歴史、織物「会津木綿」の特徴と現在の生産状況、そして漆器問屋が軒を連ねた七日町通りを、それぞれ出典つきで紹介します。
会津塗はどのように発展したのか
蒲生氏郷が近江の職人を招いたことに始まり、寛政の改革期に「消粉蒔絵」などの加飾技法が加わりました。
蒲生氏郷と会津塗の始まり
会津に本格的に漆工芸が根付いたのは、1590年に会津の領主となった蒲生氏郷が、産業として漆工芸を奨励したことによるとされます。氏郷は前領地の日野(現・滋賀県)から木地師や塗師を呼び寄せ、技術を会津に伝えました。歴代の藩主も、豊かな森林資源を背景に漆樹の管理や職人の保護に力を入れました。
花塗と消粉蒔絵という技法
会津塗は、上塗りを研ぎ上げずに仕上げる「花塗」を主とし、塗肌の柔らかみを生かした仕上がりが特徴です。江戸中期の寛政の改革期には、金粉より粒の粗い粉を使う「消粉蒔絵」など新たな加飾技法が導入され、現在の会津漆器にも受け継がれています。1975年、経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。
出典:福島県・会津塗
会津木綿はどのように広まったのか
江戸初期に藩主が奨励した綿花栽培をもとに広まった、藍染めの縦縞が特徴の丈夫な木綿織物です。
藩主による奨励と広まり
会津木綿は、会津藩主が綿花栽培や木綿織を奨励したことで広まった織物です。1643年に会津へ入った保科正之は、藩士の妻女の内職として木綿織を奨励し、モンペや野良着など日常の生活布として定着させました。会津塗とは異なり、経済産業大臣指定ではなく福島県指定の伝統的工芸品という位置づけです。
会津木綿の特徴と現在の織元
会津木綿は、経糸を小麦澱粉の糊で固めて織る平織りの木綿で、厚みがありながら汗をよく吸い、保温性に優れています。紺地に白い縞を織り出すものが元々一般的でした。大正期には約30軒あった織元も、現在は会津若松市内に2軒、会津坂下町に1軒を残すのみとなっています。
出典:山田木綿織元 会社案内
漆器問屋が並んだ「七日町通り」
会津五街道の玄関口として栄えた七日町通りには、今も明治期の漆器問屋の建物が残っています。
会津五街道の玄関口
七日町通りは、藩政時代に日光・越後・米沢方面へ向かう街道が通り、城下町の西の玄関口として問屋や旅籠が軒を連ねた通りです。毎月7のつく日に市が立ったことが「七日町」という名の由来で、江戸期の番付「若松緑高名五幅対」には、この通りにあった漆器問屋や菓子屋など多数の店が記録されています。
出典:七日町通りの歴史
戊辰戦争後の復興を支えた漆器問屋
戊辰戦争で会津の産業は大きな打撃を受けましたが、水が豊富な土地に根付いた酒造と、冬でも作業ができる漆器づくりが復興の原動力となりました。七日町通りの老舗漆器問屋・白木屋漆器店は、その当主が会津若松市長を務めるなど、漆器を「会津漆器」というブランドに育てるうえで大きな役割を果たしました。
出典:七日町通りの歴史
会津にはほかにどんな工芸・民俗芸能があるのか
冬の「会津絵ろうそくまつり」で知られる絵ろうそくと、春の彼岸に舞う「会津彼岸獅子」も会津の伝統です。
会津絵ろうそくと「会津絵ろうそくまつり」
会津では、漆器や仏壇とともに発展した「会津絵ろうそく」という伝統工芸も伝わっています。牡丹や菊などの花が描かれたろうそくで、毎年2月に鶴ヶ城と御薬園を主な会場に開催される「会津絵ろうそくまつり」では、この絵ろうそくを雪の中に無数に灯す光景が見どころです。愛称の「ゆきほたる」は、2000年の第1回開催時に一般公募で名付けられました。
会津彼岸獅子
会津彼岸獅子は、天寧獅子保存会と小松獅子保存会という2つの保存会によって伝承されており、春の彼岸の期間、鶴ヶ城本丸や阿弥陀寺境内、本町通り、市役所通り、神明通り、大町通りなど、市内各所を巡って披露されます。会場を分担しながら2日間にわたって舞われるのが特徴で、会津若松市の無形民俗文化財に指定されています。
よくある質問
会津塗と会津木綿、どちらが古い?
どちらも蒲生氏郷の時代(1590年前後)にルーツを求める説がありますが、産業として広く定着したのは会津塗が寛政期(18世紀後半)、会津木綿は保科正之が奨励した1643年以降とされ、広まった時期としては会津木綿の方が先行します。
会津塗の「消粉蒔絵」とはどんな技法?
蒔絵に使う金属粉のうち、粒子が粗く光り方が控えめな「消粉」を使う技法です。金粉を使う華やかな蒔絵とは異なる、落ち着いた輝きの装飾を生み出します。
会津木綿はどんな色や柄が多い?
もとは紺地に白い縞という組み合わせが基本でしたが、現在は赤や緑、黄色など多彩な色を使った縞柄も織られており、伝統的な野良着のイメージから、現代的な服飾雑貨まで幅広く使われています。
会津塗の食器は普段使いできる?
できます。「花塗」仕上げは丈夫で日常使いに向いており、こづゆなどの会津の郷土料理を盛る「手塩皿」をはじめ、婚礼や正月といった特別な席から日常の食卓まで幅広く使われています。