金沢の近現代史|空襲を免れた町並みから新幹線開業まで

金沢は第二次世界大戦の空襲を免れ、江戸期の町並みを今に残す珍しい都市です。ユネスコ創造都市の認定から北陸新幹線の開業、金沢21世紀美術館まで、近現代の歩みを出典つきで紹介します。
金沢は、第二次世界大戦で大規模な空襲を受けなかった数少ない主要都市の一つです。この幸運が、江戸期からの町割りや茶屋街の建物を今に伝える土台になりました。戦後は2009年のユネスコ創造都市認定、2015年の北陸新幹線金沢開業と、大きな転機を重ねています。
この記事では、金沢が空襲を免れた経緯、ユネスコ創造都市としての国際的評価、新幹線開業がもたらした変化、そして金沢21世紀美術館という現代アートの象徴を、出典つきで解説します。
金沢はなぜ空襲を免れたのか
終戦間際に爆撃目標リストから外れたとされ、理由の全容は今も研究が続けられています。
空襲目標から外れた経緯
金沢は第二次世界大戦中、他の多くの日本の主要都市と異なり、大規模な空襲を受けませんでした。近年の研究では、終戦間際に爆撃目標リストから外れたことが確認されていますが、その正確な理由については米国側の資料を調べても完全には解明されておらず、気象条件や戦略的判断など複数の要因が関わった可能性が指摘されています。「歴史ある町だから」「爆撃の順番が来る前に終戦を迎えた」という説は、近年の研究では否定的に見られています。
ユネスコ創造都市への認定
2009年、金沢は工芸分野で世界初のユネスコ創造都市に認定され、金箔や加賀友禅の集積が評価されました。
クラフト分野で世界初の認定
金沢市は2009年6月8日、ユネスコ創造都市ネットワークの「クラフト&フォークアート」分野に登録されました。これは同分野での世界初の認定であり、金箔や加賀友禅、金沢漆器、加賀繍、金沢仏壇など、経済産業大臣指定の伝統的工芸が集積していることが評価の背景にあります。
北陸新幹線の金沢開業がもたらした変化
2015年3月14日の開業で東京―金沢が最短2時間28分に短縮され、利用者は開業前の約3倍に増えました。
2015年3月14日の開業と所要時間の短縮
北陸新幹線は2015年3月14日、長野から金沢まで延伸開業しました。最速列車「かがやき」は東京―金沢間を最短2時間28分で結び、それまでの上越新幹線と在来線特急を乗り継ぐルートに比べて、最大1時間23分の短縮を実現しています。
開業後の利用者増加と経済効果
北陸新幹線の金沢開業後、利用者数は開業前のおよそ3倍にあたる水準まで増加し、当初の予想を上回る結果となりました。観光需要の拡大による石川県への経済波及効果は、直接効果だけで454億円と推計されており、企業進出や移住の増加など、経済・地域振興の両面で影響が続いています。
出典:2016年度 日本政策投資銀行 北陸支店レポート 北陸新幹線金沢開業による観光活性化が石川県内に及ぼす経済波及効果
金沢21世紀美術館という現代アートの象徴
2004年開館のガラス張りの円形美術館で、レアンドロ・エルリッヒの常設作品「スイミング・プール」が象徴です。
2004年の開館とまちに開かれた設計
金沢21世紀美術館は2004年10月、金沢の新しさを象徴する現代アートの美術館として開館しました。どこから見てもガラス張りの円形に見える建築で、展示室ごとに独立した空間を保ちながら、公園のように誰でも自由に出入りできるつくりになっている点が特徴です。
レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」
アルゼンチンの美術家レアンドロ・エルリッヒが手がけた「スイミング・プール」は、地下の展示空間をプールの水槽に見立て、透明な天井の上に薄く水を張ることで、地上からは水中を歩く人の姿が見える仕掛けの常設作品です。開館当初から2015年の北陸新幹線開業後しばらくまで、正式名称ではなく「レアンドロのプール」という愛称で呼ばれていました。
よくある質問
金沢城下は空襲以外の戦災も免れた?
完全に無傷だったわけではありませんが、他都市に比べれば被害は限定的だったとされます。市内には防空壕として使われたトンネルなど、戦争の記憶を伝える遺構も一部残っています。
ユネスコ創造都市に認定されている都市は他にもある?
はい。ユネスコ創造都市ネットワークには文学・音楽・映画・食文化など複数の分野があり、世界中の都市が加盟しています。金沢はその中でも「クラフト&フォークアート」分野で世界初の認定を受けた都市です。
北陸新幹線は今後さらに延伸する予定?
石川県内では、金沢からさらに西へ延伸する計画が進められており、県内全線開業を目指す取り組みが続いています。開業区間が延びるごとに、沿線地域への経済効果も注目されています。
金沢には他にどんな現代建築がある?
禅の哲学者・鈴木大拙の思想を伝える「鈴木大拙館」も、2011年に建築家・谷口吉生の設計で開館した現代建築です。水鏡の庭を望む静謐な空間で、21世紀美術館とはまた異なる形で金沢の新旧の魅力を伝えています。