「阿蘇」という名前の物語 ── 地名の由来と町村合併の歴史

『阿蘇』という地名がどこから来たのか、実ははっきりとは分かっていない。崩れやすい崖を指す言葉に由来する説、アイヌ語由来説、古代の勢力名に由来する説など諸説が並び立つ。今の阿蘇市も、かつては一の宮町・阿蘇町・波野村という3つの町村だった。名前の重なりと変遷をたどっていく。
阿蘇の語源には複数の説がある。崩壊地形を指す『アス・アズ』に由来するという説、『燃える』と『床』を意味するアイヌ語に由来するという説、古代の勢力『襲(そ)』に由来するという説などが並び、決定的な結論は出ていない。
現在の阿蘇市は2005年、阿蘇町・一の宮町・波野村という3つの町村が合併して誕生した。この記事では地名の由来とともに、市のシンボルや文人が残した言葉にも触れ、『名前』という切り口から阿蘇を眺めてみる。
地名と国立公園名の変遷
阿蘇市は2005年に阿蘇町・一の宮町・波野村が合併して生まれた。国立公園も1986年に『阿蘇くじゅう国立公園』へ改称され、名前は時代とともに変わってきた。
阿蘇市の合併と旧町村名
現在の阿蘇市は2005年2月11日、阿蘇町・一の宮町・波野村の合併で誕生した。一の宮町の名は、町内の宮地に鎮座する肥後国一之宮・阿蘇神社に由来する。阿蘇町は1954年に内牧町など5町村が合併してできた町で、町名は阿蘇郷・阿蘇山にちなむ。波野村は標高700〜900mの波状の高原地形が名の由来とされる。
出典:阿蘇市誕生の記録
阿蘇くじゅう国立公園あそくじゅうこくりつこうえん
1934年に『阿蘇国立公園』として指定された公園は、1986年に大分県のくじゅう連山を編入して『阿蘇くじゅう国立公園』へと改称された。国立公園という制度上の名前も、阿蘇という地名と同じく時代とともに姿を変えてきた一例といえる。
出典:阿蘇くじゅう国立公園
市のシンボルと文人が残した言葉
市花リンドウ・市木ミヤマキリシマ・市鳥キジが阿蘇市のシンボル。1899年に阿蘇を旅した夏目漱石の体験は、小説『二百十日』の題材になったと伝わる。
リンドウりんどう
阿蘇市の市花はリンドウ。市章のローマ字『A』『S』とあわせ、『緑いきづく火の神の里』という市の基本理念を象徴するシンボルの一つとして市民憲章とともに定められている。
キジきじ
市鳥に選ばれているキジは、日本の国鳥でもある。市の花(リンドウ)・木(ミヤマキリシマ)・鳥(キジ)は、市章とあわせて阿蘇市が自らをどう名乗り、どう見せたいかを示すシンボル体系を形づくっている。
ミヤマキリシマみやまきりしま
市の木ミヤマキリシマは、初夏に外輪山や九重連山の斜面をピンク色に染めるツツジ科の低木。名前に『霧島』とあるが、これは鹿児島の霧島連峰ではなく、阿蘇・くじゅう一帯に広がる群落を指している。
よくある質問
『阿蘇』の語源は結局どれが正しいのですか?
崩壊地形説・アイヌ語説・古代勢力名説など複数の説が並び立ち、単一の定説はありません。地名の由来は複数の仮説を比べて楽しむのがこの分野の作法です。
阿蘇市・阿蘇町・阿蘇郡はどう違いますか?
阿蘇郡は熊本県内の郡の単位、阿蘇町は2005年まで存在した町、阿蘇市はその阿蘇町・一の宮町・波野村が合併してできた現在の市です。名前は似ていても指す範囲が異なります。
波野そばと波野村はどう関係していますか?
波野そばは、2005年の合併前に波野村という独立した自治体だった波野地区で今も栽培され続けている特産品です。地区名は旧村名をそのまま受け継いでいます。
市のシンボルはどこで正式に確認できますか?
阿蘇市の公式サイトに市章・市花・市木・市鳥・市民憲章がまとめて掲載されています。この記事で紹介した由来とあわせて確認してみてください。