日光を歩く:杉並木と社寺を読む道

日光へ向かう道のりには、神橋の朱色、いろは坂のカーブ、杉並木の木陰といった、それぞれ性格の違う通り道が重なっている。道の名前を一つずつ追うと、山を目指した参詣の歴史が見えてくる。
社寺そのものだけでなく、そこへ至る道や橋にも日光ならではの由来がある。橋・坂・並木・高原・川という異なるジャンルの固有名詞を、地理的なつながりを意識しながら見ていく。
以下の組は、隣り合う場所にある名前どうしをペアにしている。どちらが上流でどちらが下流か、どちらが先にあってどちらが後にあるかを意識すると、似た名前を取り違えにくくなる。
杉並木と社寺を読む道:神橋といろは坂
神橋は社寺めぐりの起点となる橋、いろは坂はそこからさらに奥日光へ向かう山道。
神橋
神橋は大谷川に架かる朱塗りの橋で、勝道上人が川を渡れずにいたところを深沙大王の遣わした蛇が助けたという伝説を持つ。現在の橋は1636年に架け替えられたもので、かつては将軍や勅使など限られた者しか渡れなかった。橋のたもとから山内へ続く石段が始まり、社寺めぐりの実質的な入口になっている。
出典:神橋(日光市公式観光)
杉並木と社寺を読む道:日光杉並木と明智平
日光杉並木は街道そのものを彩る並木、明智平はいろは坂の途中で立ち止まる展望地点。
日光杉並木
日光杉並木は日光街道など3本の街道沿いに杉を植えた並木で、総延長は約35キロメートルにおよぶ。1625年頃、大名・松平正綱が家康に供える杉として植え始め、1648年、家康の33回忌にあわせて正式に奉献された。1996年にはギネス世界記録で世界最長の並木道と認定されている。
出典:日光杉並木(日光市公式)
明智平
明智平はいろは坂の途中にある展望地点で、ロープウェイに乗り換えると華厳滝・中禅寺湖・男体山を一望できる展望台に上れる。名の由来には諸説あり、東照宮の造営に関わった天海僧正がこの地を名付けたという伝承もある。杉並木を抜けて山道を登った先に、視界が一気に開ける場所として位置づけられる。
出典:明智平(日光市観光協会)
杉並木と社寺を読む道:霧降高原と大谷川
霧降高原は日光市街の北東にある高原、大谷川は社寺のそばを流れて市街を貫く川。
霧降高原
霧降高原は日光市街の北東に広がる高原で、名前は近くを流れる霧降ノ滝に由来する。夏には「小丸山」の斜面にニッコウキスゲの群落が咲き、1,445段の階段と木道が整備されている。杉並木や神橋がある社寺エリアとは反対方向に位置する、もう一つの日光の顔といえる。
大谷川
大谷川は神橋の下を流れる川で、中禅寺湖からの水を受けて日光市街を流れ下る。上流では華厳滝を落ちた水を集め、含満ヶ淵と呼ばれる渓流部分には化け地蔵と呼ばれる無数の地蔵が並ぶ。橋と川はセットで語られることが多く、日光観光の玄関口を形づくっている。
杉並木と社寺を読む道:勝道上人と日光街道
勝道上人は日光への道を切り開いた僧、日光街道はのちに整えられた実際の道。
勝道上人
勝道上人は766年に四本龍寺を開き、幾度もの挑戦の末、782年に男体山への初登頂を果たした僧侶。大谷川を渡れずにいた伝説は神橋の由来として、中禅寺湖の発見は湖の由来として、それぞれ日光の地理に刻まれている。
よくある質問
日光でこのテーマを歩く順番は?
神橋を起点に、いろは坂、日光杉並木の順にたどると、参詣路が山へ向かって伸びていく様子を体感しやすい。
固有名詞は丸暗記した方がよいですか?
名前だけでなく、上流・下流や手前・奥といった位置関係を一つ添えて覚えると、似た地名と混同しにくくなる。
出典はどこを見ればよいですか?
各項目の末尾に自治体・社寺・観光協会などの一次情報を置いている。営業時間や通行状況は訪問前に公式ページで確認してほしい。