茨城県・県西の難読地名 ── 古河公方と結城紬が刻んだ地名を読む

最終更新: 2026-07-19

古河公方を描いた架空のドット絵風景

茨城県西部、通称「県西」の地図を開くと、初見では読み方の見当がつかない地名にいくつも出会う。この地域がたどってきた歴史と、地名の読みが崩れていく型を順に見ていく。

古河市結城市下妻市常総市筑西市坂東市桜川市八千代町境町という九つの市町からなる県西地域は、利根川・鬼怒川・小貝川に挟まれた低地と台地からなる。中世には関東の政治史の一角を担い、近世には絹織物の産地として知られた土地でもある。

ここでは日本郵便の郵便番号データにもとづく公式読みを手がかりに、地名の読みが崩れていく型を、この地域固有の歴史的背景とあわせて整理した。個々の地名の由来を資料で確認できない場合は、断定を避けてその旨を明記する。

古河公方と結城紬 ── 県西の歴史が刻んだ土台

古河公方

古河市

1455年の享徳の乱で鎌倉から本拠を移した足利成氏を初代とし、政氏・高基・晴氏・義氏と続いた約130年におよぶ関東の政治勢力である。古河城を拠点にしたこの歴史が、県西随一の古い城下町としての古河市の骨格を形づくった。

出典:古河公方 - Wikipedia古河公方 足利氏/古河市公式ホームページ

結城紬

結城市

常陸国風土記の時代に伝わったとされる長幡部の絁(あしぎぬ)をルーツに持つとされ、慶長年間(1596〜1615年)ごろから結城紬と称されるようになった絹織物である。1977年に国の伝統的工芸品、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録され、糸紡ぎ・絣くくり・地機織りの三工程は国の重要無形文化財に指定されている。

出典:結城紬 - 無形文化遺産 文化遺産オンライン結城紬の紹介・製作工程 | 観光情報 | 結城市公式ホームページ

大宝八幡宮

下妻市

701年(大宝元年)に藤原時忠が宇佐神宮を勧請して創建したと伝わる、関東地方で最古とされる八幡宮である。平将門も戦勝祈願に度々参拝したと伝わり、社名にちなむ「大宝」の地名は、下妻市に「だいほう」の読みで今も残る。

出典:大宝八幡宮 - Wikipedia

音がずれる・当て字になる ── 読みの崩れ方

曲田

常総市

「曲」を訓読みし「田」を「た」と読むだけなら「まがた」で済みそうだが、常総市のこの地名は促音を伴う「まがった」と読み、日常語「曲がった」とまったく同じ音になる。田の形が由来かどうかは資料で確認できず、断定はできない。

出典:日本郵便 郵便番号検索(茨城県常総市)

五部

古河市

「部」は「ぶ」と読むのが一般的だが、古河市のこの地名では「へい」という読みが当てられ、全体で「ごへい」となる。一字の読みを個別に積み上げても正しい読みには到達しにくい例である。

出典:日本郵便 郵便番号検索(茨城県古河市)

子思儀

筑西市

「子」「思」「儀」のどの字からも、辞書的な読みだけで「こしぎ」という音を組み立てることは難しい。三字をひとまとまりの音として当てた、当て字性の強い地名である。

出典:日本郵便 郵便番号検索(茨城県筑西市)

方角と新田 ── 低地の開発が残した地名の型

北山田

古河市

古河市には「北山田」のほかに「西牛谷」「東牛谷」のように、同じ基となる地名の前に方角を冠して隣り合う二つの町域に分けた地名が複数見つかる。集落が広がる過程で東西南北に呼び分けた名残と考えられる型で、県西の他市にも同様の対を持つ地名がある。

出典:日本郵便 郵便番号検索(茨城県古河市)

古宿新田

結城市

新田」を含む地名は、江戸時代に低湿地や台地を切り開いて田畑にした新田開発の記録を今に伝える。結城市の「古宿新田」のほか、常総市の「笹塚新田町」など、県西一帯には同種の地名が点在する。

出典:日本郵便 郵便番号検索(茨城県結城市)

長左エ門新田

古河市

「新田」の前に人名らしき語を冠する地名は、開発を請け負った人物の名を地名に残したものと考えられている。古河市の「長左エ門新田」や常総市の「孫兵ヱ新田」は、その型に沿う長い地名の例である。

出典:日本郵便 郵便番号検索(茨城県古河市)

よくある質問

「県西」とはどのような区分ですか。

茨城県内で使われる地域区分のひとつで、古河市・結城市・下妻市・常総市・筑西市・坂東市・桜川市・八千代町・境町を指す。県の資料や天気予報でも使われる呼び方である。

古河公方や結城紬は、地名の読みそのものと直接関係がありますか。

読みの崩れ方そのものを説明するものではないが、古河市・結城市が古くから開けた土地であったことを示す背景である。古い集落ほど、現代の音訓の慣習とは別に読みが定着している場合がある。

由来が確認できない地名は、この記事ではどう扱っていますか。

資料で裏付けが取れない由来は推測として書かず、確認できないという状態そのものを明記する方針をとっている。断定できる場合とできない場合を区別することを優先した。

ここに載っていない地名の公式な読みを確認するには。

各項目に添えた出典が確認の手がかりになる。読みを覚えたら、難読地名検定で腕試しができる。

出典・参考

※ 由来に諸説あるものは「諸説あり」として記載しています。読み・由来は公開情報にもとづきますが、最新の情報は各出典でご確認ください。

執筆: LoreMania編集部/出典検証: 各項目に明記

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